手術

前に書いてから一ヶ月もたったのか。

手術の日は朝早くに起きて、浣腸から始まった。6時くらいだったのではないか?
その後、弾性ストッキングを履いたり、T字帯をしたり、病衣を手術用のガウンのようなものに着替えたりした。7時半くらいには妹や姉の家族や叔父さん、叔母さんたちも見えていた。これまでの2回全身麻酔での手術をしていたが、関東でやったこともあり、椎間板ヘルニアの手術で絶対に親族の立ち会いが必要と言われたために姉に来てもらったくらいだったので、改めて凄いことのような気がした。8時チョット前になり、手術室に向かった。前2回は病室で肩に筋肉注射をされて、ストレッチャーに乗って行ったが、今回は看護師さんに案内されてみんなで歩いていった。

そう言えば、前2回は相当広範囲に体毛を剃ったのに、今回は特になかった。腹毛が結構あるため、縫った傷口に腹毛が食い込んで化膿するような気がしたので、前日に担当の看護師さんに聞いたところ、最近はあまり剃らないとの事だった。「これでも大丈夫ですかね?」と見せたら、心配ならば、とバリカンのようなもので刈毛してくれた。

手術室の前で見舞いの人たちと別れ、中に入っていくと、待合室のような広い部屋があった。そこで、麻酔の先生に色々な確認を行った。何の手術かわからないが、おばあさんがとても不安そうにしていた。姉は自分がこれから肝臓を取ってしまい、成功率80%で外科手術としては決して成功率が高いとは言えない、と言われた手術を受けるのに、「大丈夫ですよ」などと慰めていた。

色んな確認などが終わり、いよいよ手術室へ向かった。手術室が何番だったのかもう記憶になくなった。手術台に上り、仰向けになったが、すぐに硬膜外麻酔のため横向きになった。手術台は横幅が非常に狭く(広かったら医者は身を乗り出すような姿勢で長時間の手術を行うことになるので当たり前だが)麻酔の管を入れるために背中を丸めるのが非常にやりづらかった。

記憶にあるのはこれくらいで、血管の確保があった後に麻酔薬を入れられるととたんに眠ったようだ。

手術中は当然記憶が無いので、後から聞いた話だと、ものすごく大変だったらしい。事前にもらっていた「肝臓移植の手引き」にはドナーの手術時間は7〜9時間、手術中にドナーに輸血したことは無い、と書かれていたが、術後の説明では3本と見えていた血管が4本だったことなどもあり、輸血をしたと説明があったらしい。また、終わる時間に迎えに行った看護師さんが2時間以上待ちぼうけを食らった事など聞いていたが、退院時にもらった診療明細書でも、保存血液輸血(1回目)560mL、照射赤血球濃厚液2袋と記載があり、増す時間も閉鎖循環式全身麻酔5 684分と11時間以上麻酔していたことが記載されていた。
また、姪の同級生が医学部にいてその同級生によると、通常は食事の時間や山場を超えた後などには立ち会いの学生に気を使って、食事に行ってきて良いよとか、休憩してて良いよとか声をかけてくれるのに、この時は先生方も必死になっていて学生に声をかける余裕も無かったそうだ。

ドナー手術は9時前には終了し、本人は全く記憶にないが手術室から出てきた時は目を開けていたらしい。
レシピエントの手術はそれから更に続き、午前2時過ぎに終了したらしい。術後の家族への説明は午前4時ころから行われたそうだ。控えめそうな先生なのに「大変だったが、手術自体は完璧」と言われたそうだ。(そう言わないと家族が心配するからかなぁ?)